放射性元素の崩壊モデル

放射性元素の残留率の時間変化を,サイコロを用いて理解することが本実験の目的である。 また,確率的な現象に対して持っている誤概念を修正し,0%の確率は10回試行すると1回は必ず起きる? 粒子の数が増えるほど,時間変化が滑らかになっていく様子を観察する。

必要なもの(未着手)

実験方法(未着手)

工夫(未着手)

付録 数理モデルによる考察

放射性元素の残留率の時間変化について

放射性元素が現象していく様子は,指数関数によって記述される。 この導出は初等的な微分方程式から導出することが可能である。

まず,ある時刻$t$において,崩壊せずに残っている粒子数を$N=N(t)$とし,$t=0$のときの粒子数を$N(0)=N_{0}$とする。 微小時間$\Delta t$時間が経過した時,粒子の変化率$\dfrac{\Delta N}{\Delta t}$はその時の粒子の数に依存するはずである。 変化率とは,単位時間当たりの変化の量である。例えば,「10個のものが1個になる変化」と「100000個のものが10000個になる変化」では,両者とも90%減少しているが変化している個数は大きく異なり,変化率は後者が圧倒的に大きい。この差は,初期状態の個数に由来する。 $\Delta t \rightarrow 0$を考えると, \begin{equation} \frac{dN}{dt}= -\gamma N \end{equation} と記述できる。 この微分方程式は非常に初等的なものである。 自分自身を時間微分すると,同形が出てくるような関数を解の候補として選べば良い。この一般解は, \begin{equation} N(t)=Ae ^{- \gamma t} \end{equation} 実際に,上記の微分方程式に代入すると, $$左辺=\frac{ d(Ae^{-\gamma t})}{dt}=A\frac{ d(e^{-\gamma t})}{dt} =-A\gamma e^{-\gamma t} =-\gamma Ae^{-\gamma t} = -\gamma N = 右辺 $$ となり,方程式を満たす。 である。$N(0)=N_{0}$を思い出すと,$e^{- \gamma \cdot 0}=1$であるから,この場合の特殊解は \begin{equation} N(t)=N_{0}e^{- \gamma t} \end{equation} となる。

半減期の導入

放射性元素の個数が半分になった時のことを考えよう。 つまり,$N(t)=\dfrac{1}{2}N_{0}$となったときである。このとき, \begin{align} \dfrac{1}{2}N_{0} &= N_{0}e^{- \gamma t} \Leftrightarrow \\ t &= \frac{1}{\gamma}\log{2} \end{align} となり,一定の値となる。 $\gamma$は原子によって固有のものであるため,一定と言える。 これは初期の粒子数に依存しないことを示しており,放射性元素が半分に減少するまでの時間は原子によって固有の値を示すことがわかる。 そこで,この値を半減期と定義し,$T$と表すことにすと,$\gamma = \frac{1}{T}\log{2} = \log{2^{\frac{1}{T}}}$となるので,式(3)に代入すると$\exp[x]=e^x$ \begin{align} \dfrac{N}{N_0} =\exp{\left[{-\log{2^{\frac{1}{T}\cdot t}}}\right]} = \exp{\left[\log{\left(\dfrac{1}{2}\right)^{\dfrac{t}{T}}}\right]} \end{align} $a,x>0$において, $$ a^{\log_a {x}} = x $$ \begin{align} \dfrac{N}{N_0} = \left(\dfrac{1}{2}\right)^{\dfrac{t}{T}} \end{align} という,教科書でよくみる「粒子の数と経過時間を,半減期を使って表した」関係を得る。