巻雲 (Cirrus, Ci)白くて繊細な糸状で、白またはほとんど白い小さな塊や細長い帯状の雲である。これらの雲は、髪の毛のような細かい繊維状の形をしているか、絹のような光沢があるか、またはその両方の性質をもつ。薄い氷晶から構成されていることが多いため、太陽との位置関係によっては状態の良い幻日や環天頂アークなどの大気光学現象が生じることも多い。温帯低気圧の前面でできることがあるため、天気が崩れる知らせとしての観天望気にもなる。 |
種
Species
部分的特徴
Supplementary features
付随雲
Accessory clouds
毛状雲 fibratus, fib
ほぼ直線状か、もしくは不規則に湾曲したもので、常に細い。鈎状や房状にはならず、ほとんどの場合流線は互いに区別できる。
かぎ状雲 uncinus, unc
灰色の部分がない巻雲で、しばしばコンマ( , )の形をしている。先端がフック状になっているか、または房の形になっており、その上部が突起の形をしていないもの。ちなみに日本語名は「鈎」という漢字を使われることが多いが「鉤」の異体字である。このページではいくつかの箇所が「かぎ状雲」と明記している。
濃密雲 spissatus, spi
巻雲の塊で、太陽の方向から見る灰色がかって見えることがあるくらい濃い雲。通常、上層雲は水蒸気量が少ないため、薄い色をしているが、十分な量の水蒸気が供給されるときに濃密雲となる。例えば積乱雲のかなとこ雲が切離した場合や、台風が近くにいるときに生じたりする。
塔状雲 castellanus, cas
小さな丸みを帯びた繊維状の塊が共通の基部から立ち上がるような形をしている。時には城の城壁のようなギザギザした形をしていることもある。突起の大きさは、地平線から30度以上の角度で観察すると、1度より大きく(または少し小さいときもある)、巻積雲の塔状雲とは違う雲である。
確かに城の城壁のよう |
房状雲 floccus, flo
ある程度独立した小さな丸い房状をしており、しばしば尾を引くような形状を伴う。房の見かけの幅は、地平線から30度以上の角度で観察すると、1度より小さい場合もあれば大きい場合もあり、巻積雲や高積雲の塔状雲とはやはり異なる。
もつれ雲 intortus, in
フィラメントが非常に不規則に曲がっており、絡み合っているように見える巻雲。よく見られる巻雲の姿はこのもつれ雲である。
放射状雲 radiatus, ra
巻雲が平行に並んでおり、遠近法の効果で、地平線上の1点に向かって収束しているように見える雲。しばしば巻積雲や巻層雲が部分的に構成されている。
肋骨雲 vertebratus, ve
巻雲が、背骨や肋骨、または魚の骨格を思わせるような形で並んでいる雲。右の写真は環天頂アークが伴っている。巻雲にはこのような美しく分光した現象が生じることがあるため、注意して観察したい。
二重雲 duplicatus, du
巻雲が、わずかに異なる高さで重なり合った層状に配置されている状態。太陽の高度が低いときは右図のように、陰影の違いから判定しやすくなる。または、巻雲の種が異なっていたり、フィラメントの走向が違うと多層構造であることがよくわかる。
乳房雲 mamma, mam
雲の下面に、乳房のように垂れ下がった突起がある雲。巻雲、巻積雲、高積雲、高層雲、層積雲、積乱雲で見られる。巻雲の場合は、濃密雲(積乱雲のかなとこ雲、台風由来が多い)の一部に見られることが多い。
波頭雲 fluctus, flu
雲の上部に生じる波状の部分。大気の流れの違い(鉛直シア)による境界の不安定(=ケルビン・ヘルムホルツ波)を可視化している。巻雲、高積雲、層積雲、層雲、積雲で見られるとされている。巻雲は上層に生じるため、遠方の巻雲(つまり、低い角度で見られる)を望遠で見ると生じていることがある。
Species |
Varieties |
Supplementary features |
Accessory clouds |
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上層雲 |
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中層雲 |
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下層雲 |
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