積雲 (Cumulus, Cu)

一つひとつが独立しており、雲の密度が高く、輪郭がはっきりしている。 雲頂はドームのように盛り上がり、塔の形のように垂直に発達する。 その様子はカリフラワーに似ている。 太陽の光を受けた部分は白く輝き、雲底は比較的暗く、ほぼ水平(=持ち上げ凝結高度)であることが多い。
積雲

 扁平雲 humilis, hum

垂直方向の発達が小さく、全体的に平らに見える積雲。鉛直方向の発達が弱いので、降水を伴うことはない。秋や冬など、地表の加熱が穏やかになる時に頻繁に見られる。

積雲

積雲 積雲
薄くても雲底は平らであり
積雲の特徴はやはり見られる
冬季の積雲は大体このような姿

 並雲 mediocris, med

扁平雲よりも鉛直方向に発達した積雲で、雲頂部に小さな突起が見られる。通常降水は伴わず、極めて典型的な積雲の種といえる。

積雲

積雲 積雲
雲底は平ら 雲頂部は扁平雲よりも発達
よく見られる積雲は大体並雲である

 雄大雲 congestus, con

並雲がさらに大きく発達した時に雄大雲という種に昇格する。発達中の雲頂部は、しばしばカリフラワー状と例えられる。 鉛直方向に大きく発達しているため、しばしば雨や雪、または雪粒がにわか雨という形でもたらすことがある。 特に熱帯地方では、豊富な雨を伴うことがある。
積雲の雄大雲は、時折とても高い塔のように見えることがある。 これらの雲頂部は、上空の風によって積雲本体から分離し崩壊することがあり、この過程で尾流雲が見られることもある。
積雲の雄大雲は、しばしば積乱雲に成長することがある。

積雲

積雲 積雲
雲頂部はカリフラワー状
激しい発達の可視化である
夏の午前中は雄大雲がよく見られ
午後になると積乱雲になっていることもしばしば

 断片雲 fractus, fra

小さい積雲で、ほつれた輪郭をもつ。移動しながら絶えずその姿は変化する。基本的に積雲が消滅する過程において見られ、山地に沿ってよく見られる。

積雲

積雲 積雲
単体で生じた断片雲
山脈に沿って生じた積雲が消えていき断片雲に

 放射状雲 radiatus, ra

積雲が、風の向きに対して平行に並んでいる状態(=クラウドストリート)で、遠近法の効果で、地平線上の一点に向かって収束しているように見える状態。

積雲

積雲 積雲
航空機から見下ろしたクラウドストリート
ちょっと特別な方向からの放射状雲
平野が広がる地域では頻繁に見られる

 尾流雲 virga, vir

積雲からの降水が地上に達する前に蒸発・昇華している状態の繊維状の部分。落下までに乾燥した空気層を通るなら蒸発して尾流雲になるし、そうでなかったら降水雲になる。降水に伴って積雲本体は消滅していき、時間が経つと断片雲が残る。

積雲

積雲 積雲
積雲の尾流雲 本体は衰退しつつある
本体がほとんど衰退した積雲の尾流雲

 降水雲 praecipitatio, pra

尾流雲が地上まで達すると降水雲とよばれる。降水粒子を発達させることができるくらい厚い積雲(例えば積雲の雄大雲など)で見られる。下の写真は積雲の雄大雲に生じた降水雲に、虹が生じている。

積雲

積雲 積雲
降水粒子が雪の場合
まるで小麦粉をばら撒いたかのような見た目になる
これも冬の降水雲
つまり雪である

 アーチ雲 arcus, arc

積雲の雄大雲から寒気が流れ出て(冷気外出流)ガストフロントを形成することがある。その先端(=前線)で元々あった空気が押し上げられると、アーチ雲が形成される。積乱雲でも見られるため「積雲」か「積乱雲」なのかは、その場における発雷の有無や降水の強さ、雲本体の特徴で判断するしかない。
ただし、アーチ雲を形成するような強い冷気外出流は大抵積乱雲であるため、積雲のアーチ雲(Cu arc)は結構レアな雲であるといえる。ただ、レアだからといって特別面白い見た目ではなく、正直積乱雲のそれの方が迫力満点である。

積雲

 波頭雲 fluctus, flu

ケルビンヘルムホルツ不安定性などが積雲の一部で可視化された状態。一般に珍しいといわれるが、注意して観察してみるとCuにもよく見られる部分的な特徴である。

積雲

 漏斗雲 tuba, tub

<未観測>積雲の下部が漏斗状に垂れ下がった状態の雲。上空寒気などで大気の状態が不安定な時に上昇気流が生じるが、その際に鉛直方向の渦が引き伸ばされる(=回転半径が小さくなる)時に生じる。地表に達すると、竜巻と呼ばれる。 積雲の漏斗雲は非常にレア。

積雲
Photo by ICA2017

 頭巾雲 pileus, pil

積雲の雲頂部で発生し、しばしばその雲が突き抜ける形で帽子のように見える付随雲。 しばしば複数の頭巾雲が重なって観察されることがある。 湿度が高く、激しい対流活動が見られる夏に多く観察される。 この時の水平方向の広がりが大きくなるとベール雲と呼ばれるようになる。

積雲

積雲 積雲
二層にわたる頭巾雲
あれこれ

 ベール雲 velum, vel

頭巾雲がさらに水平に広がった時にベール雲という付随雲に昇格する。 雲頂部に一つまたは複数見られることがある。 上昇気流によって副次的に持ち上げられることによって生じるため寿命は短い。 また、本体の雲の成長によって突き抜かれていることもある。 湿度が高く、激しい対流活動が見られる夏に多く観察される他、冬季の三重県北部では鈴鹿山脈を越える積雲にもよく見られる。

積雲

積雲 積雲
水平に大きく広がる
夕焼けのベール雲

 ちぎれ雲 pannus, pan

積雲のほつれた雲片が近くに位置している状態。湿気を含んだ空気の中(例えば降水雲を伴う積雲など)で発達し、強い下層の風がこれらの積雲がほつれ、乱れた形として現れる。

積雲

積雲 積雲
強い風が吹き積雲本体から雲がちぎれるように流れる
降水により積雲本体は衰退
下にはちぎれ雲が残った
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Species
変種
Varieties
部分的特徴
Supplementary features
付随雲
Accessory clouds
上層雲
巻雲



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巻積雲



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巻層雲


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中層雲
高積雲





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高層雲



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乱層雲


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下層雲
層積雲





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層雲


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積雲
積乱雲





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