層積雲 (Stratocumulus, Sc)

灰色または白色、または明灰色の雲片がシート状、または層状に広がった雲。ほぼ暗い部分が見られ、タイル状や、丸、帯状の形などで構成される。 これらの雲片ははっきりとしており(=繊維状ではない)、合体していたり、分離してたりする。 規則的に並んだ雲片のサイズは5度以上である。
バリエーションに富みその姿は多様。「どの雲形にも当てはまらない雲が層積雲である」と冗談混じりに紹介されることもある。
層積雲

 層状雲 stratiformis, str

層積雲の種としてはもっとも一般的な姿である。帯状や大きな雲片から構成され、それらが広がってシート状や層状として配置されている。 ある程度平らな姿をしており、空の青さが隙間からは見られない時はまるで乱層雲のようである。

層積雲

層積雲 層積雲
朝日を受けてなんとも言えない陰影を形成
雲片の境界がしっかり区別できる
地上の風景を含めて撮影しないとAcと区別できない

 レンズ雲 lenticularis, len

レンズ型やアーモンド型をした層積雲の塊で、とても細長くなるときもある。輪郭がはっきりしており、雲片が密集してできているか、一つの滑らかな塊で構成されているときもある。太陽の位置関係によっては彩雲が見られることもあります。 ICA2017の説明では「この種は比較的珍しい」とされているが、日本のような山地が多い地域では比較的よく観察されると思う。

層積雲

層積雲 層積雲
乱層雲が晴れてきて雲量が少なくなり
レンズ雲だけが残った
鈴鹿山脈と同高度の雲
高度は1000m程度なので下層=Sc len

 塔状雲 castellanus, cas

層積雲から垂直に立ち上がっており、大気の不安定を表している。これらは次の特徴を持つ:
 ・線状に並んでいるように見える
 ・城の城壁のようにみえる
 ・幅よりも高さがあることがある
 ・側面から見ると特に顕著に見える

※特に垂直に広がると、以下のように分類されます:
 ・非常に発達している場合=Cumulus congestus stratocumulogenitus
 ・上部が滑らかで繊維状または縞状、雲が稲妻や雷またはひょうを伴う場合=Cumulonimbus stratocumulogenitus

層積雲

層積雲
遠方の層積雲 垂直に立ち上がり塔状雲

 房状雲 floccus, flo

小さな積雲状で、その下部は一般的にほつれている。気温が低い時は、繊維状の構造(氷晶の尾流雲)を伴う。層積雲の房状雲は、その高度での不安定性を示す指標です。しばしば層積雲の塔状雲の基底部が消散した結果として形成される。

層積雲

層積雲 層積雲
下部がほつれ輪郭がもわっとしている
夜の房状雲

 ロール雲 volutus, vol

長く水平に伸びた筒状の雲塊。しばしば水平軸を中心にゆっくりと回転しているように見える。 通常は1本だけだが、時折連続する雲の列として観察される。層積雲のロール雲はとても珍しい現象。

層積雲

層積雲
鈴鹿山脈に沿った 長大なロール雲
層積雲

 半透明雲 translucidus, tr

密度が高くない状態の層積雲。雲の大部分は十分に透けており、太陽や月の位置が確認できる。雲が重なっていても、空の青がかすかに見えるくらい薄い。

層積雲

層積雲
空の色が透けた層積雲
この状態は層状雲という種としても分類される

 すきま雲 perlucidus, pe

層積雲の雲片が十分に空いている状態の雲。層積雲にみられるよくある姿である。

層積雲

層積雲 層積雲
雲片が大きめの層積雲
大きさは対流セルのサイズに対応している
左の層積雲よりも小さな雲片
高度は比較的高い

 不透明雲 opacus, op

密度の高い状態の層積雲。大きく暗い帯状や丸い塊が連続、またはほぼ連続したシート状や層状を形成しており、ほとんどの部分で太陽や月を隠す。 一般的には、下面が不均一で、要素が浮き彫りのように際立つ。

層積雲

層積雲 層積雲
空の色はほとんど見えないが
規則正しく並んでいる

 二重雲 duplicatus, du

2つ以上の層積雲が広がってその層が重った状態。これらは互いに近接しており、部分的に融合していることもある。この変種は、層状雲やレンズ雲で見られる。

層積雲

層積雲 層積雲
下層と上層で明るさが違う
写真ではわかりにくい
移動速度の異なる層積雲が重なった

 波状雲 undulatus, un

比較的大きく、しばしば灰色の要素で構成され線状に配置されている。通常、変種が波状雲の場合、層状雲という種に属す。

層積雲

層積雲 層積雲
一本一本に雲片の区別は見られない
山脈付近で見られることが多い

 放射状雲 radiatus, ra

層積雲がほぼ平行な帯状に広がり、遠近法によって、地平線上の一つの点に向かって収束しているように見えます雲。この類は「クラウドストリート」として並ぶ積雲に似ている。 放射状雲は、通常層状雲に属しており、隙間雲など整然と並んでいる層積雲でわかりやすく見られる。

層積雲

層積雲 層積雲
あれこれ
あれこれ

 蜂の巣状雲 lacunosus, la

層積雲がシート状、層状、斑点状に広がった上で、下降気流により規則的に丸い穴が分布している状態。その多くは縁がほつれており、網目状や蜂の巣のように見られる。

層積雲

層積雲 層積雲
遠方のScだが蜂の巣状の独特のパターン
蜂の巣状雲の夕焼け

 尾流雲 virga, vir

層積雲からの降水が地上に達する前に蒸発・昇華している状態の繊維状の部分。落下までに乾燥した空気層を通るなら蒸発して尾流雲になるし、そうでなかったら降水雲になる。

層積雲

層積雲 層積雲
層積雲の一部を望遠
明らかに蒸発している
流線が見られる

 乳房雲 mamma, mam

雲の底に乳房や逆さまの盛り上がりの形を強調した凸凹が見られ、雲から分離しそうな印象を与えることもある。 層積雲の乳房雲は、しわ状の外観を持つ高層雲の不透明雲と混同されることがあるが、高度やその実態が別物である。

層積雲

層積雲 層積雲
沸き立つような乳房雲
台風の後見られた大きな乳房雲

 降水雲 praecipitatio, pra

尾流雲が地表まで到達すると、降水雲と呼ばれる。層積雲ではまれにしか発生せず、発生してもその降水は弱いのがほとんどである。

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層積雲

層積雲 層積雲
数多の層積雲の中でこの領域だけ降水があった
山脈沿いには降水が確認された

 波頭雲 fluctus, flu

ケルビンヘルムホルツ不安定性などが層積雲の一部に可視化した状態。珍しいといわれるが、注意して観察してみるとScにもよく見られる部分的な特徴である。

層積雲

層積雲
層積雲の雲頂にて
200mmの望遠で撮影

 荒底雲 asperitas, asp

典型的なものは、さまざまな濃淡の灰色を示す。大抵雲は十分厚く、波状雲よりも混沌としている。下から見ると「荒れた海面を下から見るような雲底部の波状構造」定義されている。荒底雲は高積雲(=中層)と層積雲(=下層)にしか分類されていないので、荒底雲の高さを見極めないと正しく分類できない。

層積雲

層積雲
鈴鹿山脈から続く層積雲
つまり下層という判定になりSc asp

 穴あき雲 cavum, cav

非常に冷たい時に、雲粒が過冷却状態になる時に見られ「ホールパンチクラウド」と紹介されている書籍もある。この雲は、過冷却状態の雲粒が氷晶へ凝固した時に、その状態変化が周囲に伝播することで形成される。形成された氷晶は穴の中央部分尾に流線として観測される(これ自体は尾流雲である)。穴あき雲は巻積雲、高積雲そして層積雲に見られる特徴であるが、下層となると雲粒が十分な過冷却状態まで下がることが難しいようで、なかなか 観察することができない。そのため未観察である。
なお、ICA2017の中にも層積雲の穴あき雲は掲載されていない。


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Species
変種
Varieties
部分的特徴
Supplementary features
付随雲
Accessory clouds
上層雲
巻雲



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巻積雲



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巻層雲


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中層雲
高積雲





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高層雲



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乱層雲


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下層雲
層積雲





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層雲


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積雲
積乱雲





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